2018.11.20
ガサゴソとばあちゃんが差し出した、巻物状の包み紙。しわくちゃの中身は、「奉納木遣」の歌詞全文を記した一枚でした。
”木遣り”は、江戸の火消しや職人から歌い継がれた、伝統の祝い唄。片貝では、9月のお祭り当日に盛んに歌われています。町内の軒先や神社で老若男女が肩を組んで歌う、”あの歌”です。
(ときにゆっくり、ときに激しくと、歌い手によって幅があるのもおもしろい)
「これどうしたの?」と聞くと、「昔そ、神社ん近くのマスジさんが1枚書ぇてくれたんだいの」
なにやら、じいちゃんの友達で、同じものがに組総合センターにも飾ってあるのだとか。(そういえば、同じような字!)
「直してもらいで飾っとけぇよ」
なんでこのタイミングかと不思議でしたが、自分も物好きなので(笑)小千谷平成町の表具屋”表久”さんに相談。
「1万5千円くらいでできるよ♬」とすかさず返答があり、2週間ほどで額に収まり戻ってきました(!)
見違えた”奉納木遣”を受け取ると、「人間のシワとシミは消せないけど、こっちのシワとシミは消せるよ」と表具屋のお母さん。にやりとしてくれました。
さて、この”奉納木遣り”。お祭りでよく耳にする部分はほんの、序盤部分って知っていました?
実は全部歌うと平気で20分を越えるという、長編叙事詩並みの長さ。
奈良時代とかの古代の抒情詩のように、延々と好きな娘への思いをつらつらと歌い上げていく中盤は、県内各地の古刹を訪れては恋の願掛けをするという(だらだら)展開。
さらには、終盤の衝撃的なうたい文句。初めて耳にした方は絶句すること間違いなし。(!!)
「(国中の神仏を頼って)それでも願いの叶わぬときは、池に身投げ後めっちゃでかい大蛇になって、姉も妹も皆取り殺す」(やんわりニュアンス)
最終的には、「この想いが届かないんなら、好きで好きでたまらんあの娘も、その姉もみんな殺す」という衝撃の告白で幕を閉じるのでした。。
なんとも奥深い、”あの歌”の真実。歌詞だけを見るとかなり強烈な文句になっていますが、そもそも最後まで歌う機会はほとんどありません(笑)
最強にロックでブルージーで、バイプス高めな恋歌でした。
「花火のち晴れ」は、花火のふるさと“カタカイ”の日々を記録する日記のようなものです。いつもの静かな朝から、熱狂的なお祭りの夜まで。どこにでもありそうで、世界のどこにもないかもしれない、この町の姿を伝えていきます。