2021.03.03
この町のお祭りを彩る「祭半纏」や「鯉口シャツ」、「手拭い」、「Tシャツ」などの制作を一手に担う老舗染物屋さんがある。
町民から『紺仁さん』と親しみを込めて呼ばれる「紺仁染織工房」は創業270年(!)という歴史を持つ。
そんな『紺仁さん』がワークショップを開催するということで、片貝に住む人間として体感すべし!と思い参加してきました。
一度、工房を見学させてもらったことはあったのですが、実際に型を彫り、染めるところまでを体験できるとは!
なんとなく紺仁さんに入る時は少し緊張するんですね。背筋が伸びるというか。身が引き締まるというか。
そんな感じで緊張しながらもさっそくワークショップスタート!!
体験内容は、
①紺仁さんが作成したデザインから選択
私が選んだデザインがこちら
持ち込みデザインも可で、複数のデザインを持ち込んだ強者もいらっしゃいました。
これまで紺仁さんで作ってきた型はしっかりと保管してあるらしく、その数はとんでもなく数らしいです!(ざっくりですみません!)
②デザインに沿って型を彫る
これがけっこうしんどい。カッターを使い、同じ姿勢でとにかく彫る!
難しい図面を選んでしまったな〜と少し後悔もしましたが、1時間半ほどかかりなんとか彫れました。
指と腰が痛い。さすが職人の世界は甘くない。
アレンジで、自分の名前の“T”と“M”と“Y”を忍ばせてみたり。
③彫った型に糊(のり)をつける
マスタード?からし?ねりごま?の色をした糊を均一に塗る。
ここがかなり重要な工程らしく、糊がつかなすぎると染まって欲しくないところまで染まってしまうんだとか。
なので、仕上げは職人さんにおまかせ!!
※写真はデモンストレーションの時のなので別デザインです!
さすが過ぎるほど糊が均一に乗っています。
糊がくっつかないようにおがくずでコーティング。
この状態でもかなりカッコイイ!!今すぐにでも着たい!という気持ちをうんと堪えます。
④いよいよ藍染めです
写真では伝わりにくいと思うんですが、この甕(藍甕というらしいです)に入った染料は、なんとも言い表せない奥深い色をしています。
その中に、Tシャツをゆっくり入れていきます。意外にも中の染料は温かい。
ムラにならないようにゆらゆらと前後に動かします。
数分つけたら、引き上げます。
この時点ではまだ綺麗な藍色ではないのですが、水に入れ糊を落としていくうちにみるみる鮮やかな色合いになっていきます。ここ、結構感動ポイントです!
Tシャツと一緒に作っていたハンカチも染めて、完成!
いい色!!気持ちいい!
できあがったTシャツとハンカチ、そして自分で彫った台紙をお持ち帰り。
「後日郵送」とかじゃなくて、その日のうちに持って帰れるのもいいところ!
今回体験したすべての工程が機械は使わずに「手」でおこなうもの。そこには、ちょっとやそっとじゃ真似できない、長い年月で培われた職人の技が詰まっていました。
ワークショップ終了後に店舗で商品を見ていると、体験前とは商品を見る視点が変わっていることに気づきます。すべての商品がムラなく染められ、デザインによっては私が彫ったデザインとは比べ物にならないほど緻密なものもありました。
「この型を彫るのに何時間カッターを握ったのだろう。もしかして何時間じゃ足りない?」そんなことを想像すると内心ゾッとします。
(工房内で吊るされていた。この細かさ・・・すごすぎる!)
コロナウィルスによる影響は、紺仁さんにとっても小さくなかったかと思います。
全国的にお祭りが中止となり、それに伴い半纏注文も減少。
そんな中でも、紺仁さんは新しいことに挑み続けています。
片貝木綿着物の新ブランド「mono-kimono」の立ち上げ。
『着物をもっとカジュアルに』という想いのもと、お洒落に自由に着物を着たくなるブランドを展開しています。
そのほかにも、半纏展示会やワークショップを開催するなど、精力的な活動は止まりません!
紺仁さんが次に何を仕掛けるのか、お見逃しなく。
ちなみに、早くも次回のワークショップ開催が決まったようです。
詳しくは紺仁さんのFacebookからどうぞ↓
https://www.facebook.com/紺仁-染織工房-211720015561314
ワークショップが終わり、店の軒先にはコーヒーショップが。
こちらもまた職人の味。
「花火と職人のまち 片貝」の職人は止まらない。
「花火のち晴れ」は、花火のふるさと“カタカイ”の日々を記録する日記のようなものです。いつもの静かな朝から、熱狂的なお祭りの夜まで。どこにでもありそうで、世界のどこにもないかもしれない、この町の姿を伝えていきます。